時間がかかるぞサン・マルコ!編

2002.3.20(水) 天気 ヴェネチア 晴れ

本当なら今日はヴェローナまで日帰り観光をする予定でした。でも昨日ヴェネチアに到着した私達は「意外と楽しそうだぞ、ヴェネチア。なんだかヴェローナに行くのはもったいないぞ」と思い、3泊しかできないこともあって、それならばヴェネチアを堪能しようということに予定を変更したのでした。

ホテルで朝食を済ませ、一休みしたら昨日行けなかったサン・マルコ寺院へ行ってみることに。でも午前中のサン・マルコ寺院ってものすごく混雑しているのねぇ。これはどうもツアー客の観光が入っているからのようです。日本のツアーの場合、午前中にサン・マルコ広場&寺院を見学、時間があればドゥカーレ宮殿を見て昼食、昼食はもちろんイカ墨パスタで、その後はお決まりのようにヴェネチアン・ガラスの工房に行き見学及び買物、そして自由時間というのがほとんどではないでしょうか?

それが悪いとは言いませんが、やはりたっぷり時間を取ってサン・マルコ寺院やドゥカーレ宮殿などは見たいものですよね。私達も今回はツアーではないので自分のペースで見学ができてそれはそれでとても楽なことでした。さて、サン・マルコ寺院は一歩中に入るとそのすばらしいモザイクに言葉もでません。金色に輝くモザイクは素晴らしいばかりです。その名の通り、サン・マルコを祀る寺院なので、モザイクもサン・マルコ伝などで飾られています。

サン・マルコ寺院

 
 
寺院内は撮影禁止なのでちょっと残念ですがその素晴らしいモザイクについてはぜひ見ていただきたいものです。一応、絵はがきを買ってきたので雰囲気だけはお届けできるかもしれませんが。

それにしてもヴェネチアの建物のほぼ全てと言っていいでしょうか?大理石の床にヒビが入り、かなり歪んでいます。もともと海の上に杭を立てて、その上に土を盛って陸地にしたし、冬のアックア・アルタ(高潮)の影響もあるのでしょうね。

←右の写真の柱の下1/3の色が違うの、わかります?
アックア・アルタでここまで水が上がってくるため、色が変わってしまってます。

←左の写真もよーく見ると床にヒビが入っているのがわかりますか?

絵葉書より、サン・マルコ寺院内部

絵葉書より、サン・マルコ寺院

   
サン・マルコ寺院の入口上には4頭の青銅製の馬像がありますが、これはコピー。本物は中に展示してあります。しかも、この本物、なんと紀元前400年頃の作品というから驚きです。もちろんここも撮影禁止です。でも係員らしき人が誰もいないんですよねぇ。いいのか?そんなことで!

これはコピーなのでもちろん撮影OK(笑)、そして外にあるから雨ざらし〜。右の茶色の柱は鐘楼です。→

サン・マルコ寺院ではたっぷり時間をかけて見学したので、出てきて時計を見ると2時間も経っていました。おぉ〜、意外に時間をかけてしまったぞ!さて次は…っとその前にもうお昼だよね。ランチにしましょう、ってことで街中をブラブラ。あぁ、やっぱりどこも共和国価格とでもいうのでしょうか、お高いわぁ〜。ランチにそんなにお金をかけたくないぞ!だからと言ってマクドナルドっていうのもイヤだしなぁ。そう思いつつ歩いていたら、セルフサービスのお店を発見!

セルフサービスなら、12%の共和国税もかからないし、自分の好きなものを目で見て選べるので楽でいいですね。そんな訳で今日のランチはスパゲッティ・ボンゴレビアンコにしたのでした。セルフでもパスタはちゃんとアルデンテでおいしかった〜。ここならまた来てもいいや。

 
ランチも済んで街歩きをしていたら、さすがヴェネチア!カーニヴァル用の衣装やマスケラ(仮面)を貸してくれるお店がたくさんありました。しかもそれがまたゴージャスな衣装ばっかり。あぁん、カーニヴァルの時期に来て、この衣装を借りて着て、参加したくなったぁ〜。そういえば2年前にヴェネチアに来た時は、ツアーだったとはいえカーニヴァル真っ盛りだったんですよねぇ。その時個人で来ていたら…くぅ〜;>なんなんだか…(苦笑)

←こんな貸衣装屋さんがあちこちにたくさん点在しているっ、さすがヴェネチア

そんなこんなでサン・マルコ広場まで戻ってきたら鐘楼が空いていたので登ってみましょう。この鐘楼はエレベータであっという間に登れます。おぉ〜、らくちん。階段で上るのはキツイもんねぇ。フト、パリの凱旋門を階段で登ったツライ記憶が甦ってしまったわ。

この鐘楼は一度崩れてしまったんですよね。だから今の鐘楼は1912年に再建されたものです。街を歩いていたら、崩れ落ちる瞬間と崩れ去りレンガの山になってしまっているところをとらえた写真が飾ってあるお店がありました。その写真を見ていたらなんだかとても哀しい気持ちになってしまったけど。

さて、鐘楼の上からはヴェネチアの街が一望できます。今日はお天気もいいから眺めも抜群です。でも水際のせいもあるのかな?はっきりくっきりとは見えないんですよね。遠くの方はやっぱりモヤがかかったように霞んでいました。

   
↑左に見えているのが海の税関  ↑鐘楼からヴェネチアの街並みを眺めてみた

↓サン・ジョルジョ・マッジョーレ島

↓サン・マルコ小広場への入口、守護聖人がお出迎え

鐘楼からの眺めも充分に堪能したので降りてきて、今度はドゥカーレ宮殿に。あぁ、このサン・マルコ広場界隈だけでもこんなに見るところがあるのよねぇ。なんて感心しつつドゥカーレ宮殿へ移動です。この宮殿はドージェが政治を司る場所として9世紀に建てられた建物ですが、何度かの火災の後、今の建物は15世紀に再建されたものだそうです。

このドゥカーレ宮殿の見所はなんといっても2階にある大評議員会議室に飾られているティントレット作「天国」の油絵でしょう。世界最大級の油絵(7m×22m)ということで、本当に圧倒される大きさです。そして天井にはヴェロネーゼ作「ヴェネチアの勝利」という名前のついた絵もあります。これもまた素晴らしい作品。私はこっちの方が好きかな。もちろんドゥカーレ宮殿の中も撮影は禁止、うーん、残念。

この大評議員会議室の壁の上の方はぐるっと歴代のドージェの肖像画で囲まれていますが、中に1つだけ黒塗りされたドージェの肖像画があります。これはマリーノ・ファリエルというヴェネチアの裏切者として斬首にあったドージェのため、黒塗りされたとか。ちなみにこの黒塗り部分にもそのことが書かれています。なんたってこのヴェネチア共和国は一般市民からの通報制度(日本式にいえば目安箱)によってチクリが公に認められていましたからねぇ。悪いことしたドージェなんかもチクリの対象になってしまうわけですな。
(この辺の件については、塩野七生先生の「海の都の物語」をぜひ読んでください、おもしろいです。)

 

現地購入のガイドブックより「天国(部分)」

 
ドゥカーレ宮殿の見学は順路に従って進むとあの有名な「ため息の橋」を渡って牢獄の方も見学ができます。この橋を渡って牢獄に入った者は生きて二度と出てくることはできないと言われた橋で、この橋の窓から最後に外を見てため息をついたことから名づけられたものですが、かのカサノヴァはこの牢獄から脱走したとか。すごいな…。

ため息の橋を渡って牢獄に入るとこれがさすがに牢獄。薄暗くて、寒くて、ジメーっとしていて陰惨そのもの。こりゃこの中に入れられたら気も狂いそうってもんです。長くこの牢獄見学なんてしていたら具合悪くなりそうだから早いところでましょう。と思ったものの、これが思いっきり迷路状態で、順路に従って行けば行くほど牢獄の深部に入り込んでいく仕組みなんですよね。こりゃ共和国のサービスか?

結局かれこれ1時間も牢獄内をウロウロしていたでしょうか?やっと牢獄から脱出(脱走ではナイ)した頃にはなんだか身も心もすっかり冷え切ってしまっていたのでした。あ〜、こわかった…。やっぱりこんな牢獄に収監されたら気が狂っても仕方ないかもしれないですねぇ。

でもこれも時間に追われるツアー旅行だと、こんなにゆっくりとしたペースで見ることはできないから、怖いながらも良かったのかもね。

←現地購入ガイドブックより「ため息の橋」と「牢獄」。もちろん牢獄には光はささないので暗く、そして地下なのでジメジメしている

ドゥカーレ宮殿と牢獄の見学が終わったら、リアルト橋へ。そういえばお土産、まだ買ってなかったしなぁ。ってことで今回の旅行のお土産はヴェネチアで買うことに決まり♪ローマやミラノじゃあイタリアっぽいお土産は買えないもんね。でもイタリアらしいお土産って一体なんだろう?

そんなことを考えつつリアルト橋に到着。さぁてお土産探そうっかなぁ〜、なんて思いながらも今日の夕食は何にするかを考えてしまった私。結局しにょ〜るとちゅうちゅうちゃん、ちゃおちゃおさんと私という2組に分かれてリアルト橋近辺で買物、散策することにしたのでした。

ちゅうちゅうちゃんはリアルト橋周辺でアクセサリー等を買いたいらしく、お買物モード。ローマでも結局お買物をガマンせざるを得なかったものね。ちゃおちゃおさんと私は夕食のお店を探しつつ散策モード。ヴェネチアの道はどこも細くて歩くときは横に広がって歩けないのだけれど…。

リアルト橋を渡った頃から私達の視界にどう見ても日本人の女の子3人組が入ってきていたのでした。しかもスーツケースを転がしつつ。私達はサン・マルコ地区側からリアルト橋を渡っているので、現在地はサン・ポーロ地区になります。普通の観光客だったらおそらくホテルはサン・マルコ地区のはず。なんでこんなところでスーツケースを転がしつつキョロキョロと周りを見ながら歩いているんだろう?

そんなことを思いながら私達は細い道を抜け、突然パッと目の前が開いて出た広場はサン・ポーロ広場でした。ここはヴェネチアっ子たちの憩いの広場らしく、観光客らしき人もあまりいません。最ももう時間的にはヴェネチアっ子も観光客も広場にはいなかったんですけどね。

サン・ポーロ広場からは明日行く予定にしていたフラーリ教会らしき鐘楼が見えていたものの、ちょっとそこまでは行かれなさそう。リアルト橋のところで別行動になったしにょ〜る&ちゅうちゅうちゃんと合流する時間もあったからね。

広場を後にして、合流場所のリアルト橋まで戻ろうとしたらまだいましたよ、ナゾの日本人3人組(仮にA子、B子、C子と名づけておく)。どうもまだホテルが見つからないらしくて、辺りをウロウロ、キョロキョロ。もうすぐ暗くなっちゃうのになぁ。さすがに気になってしまい、差し出がましいようだけど、ちょっと声をかけてみることにしました。

すると彼女達が探していたのはホテルではなく、友人の家だということでした。3人のうちA子の知り合い(イタリア人らしい)がヴェネチアに住んでいるらしく、その人の家に宿泊するのだとか。一体どこなのだろう?と思って聞いてみたら、B子が「魚市場の近くらしいんですけど」と言いかけたところで、A子が「お姉ちゃんは黙ってて!」と鋭い口調で言ったかと思ったら、私達に「この住所ってどこか知ってますか?」と聞いてきました。しかも高飛車にっ!差し出された紙には<SanPolo18××>という住所が書いてありました。                       この地図をクリックすると別窓で大きく開きます(巨大;)→

この住所だけで行くのか?それってちょっと無理なんじゃあ?しかもA子は携帯電話でその知り合いとやらに電話で場所を聞いているのに、どうして行き着けないんだ?イタリア語だって流暢とは言えないまでもちゃんと話せているのに…。

しかも地図を見たら魚市場ってリアルト橋をはさんで現在地とは反対の場所じゃないの。一体なんでこっちに来ちゃったんだろう?そう思って聞いてみたらC子(A子の友人らしい)が「リアルト橋を渡ったところで右方面に行こうと思ったら、突き当たってしまったので左に曲がってみたんです。そしたら全然違う所に出てきちゃったみたいで」って…、そりゃあんた。右に行くところを左に行ったら反対に出ちゃうでしょうよ。

結局、「リアルト橋まで戻ってもう一度その知り合いに電話した方がいいですよ。」と言って別れたのだけど、仮に無事にたどり着いたとしてもあの3人、気まずい旅行が続いていくんだろうなぁということが予想されてしまったのでした。だって既にA子が2人を振り回しているって感じで、B子はA子の姉だから仕方がないとしてもC子なんてブチ切れかけていたもんね。終わったな、あの3人の旅行…、ふっ。

でもさ、普通のイタリア人は友達が日本からわざわざ尋ねてくるという状況なら、例えば航空とか、駅までは無理だとしても目印になるような所(この場合はリアルト橋とか)まで迎えに来てくれそうなものだけどねぇ。ひょっとして招かれざる客だったのか?@3人

私達もリアルト橋でのしにょ〜る&ちゅうちゅうちゃんとの待ち合わせにちょこっと遅れたものの、「ナゾのけんか姉妹」(と名付けた)の話で盛り上がってしまったのでした。でも、こんなことをしつつもちゃんと夕食のお店は探したもんね。今夜はローマでのお昼ご飯に続いて中華!おいしいかどうかは食べてみないとわからないけれど、中華好きだから行ってみましょうっと。

店内はあまりお客さんも入っていなくて「こりゃ失敗か?」という不安がよぎっていきましたが、考えてみたら時間的にまだ早いんですよね。大体みんなもっと遅くなってから食事にするんだもん。だからリストランテなどはほとんどがPM7:00ぐらいにならないと開店しないから、日本人的にはちょっと困っちゃうな。

さて肝心のお料理ですが、チャーハン2種類とライス、麻婆豆腐(正統派中華?だな)、チキンの炒め揚げ?、搾菜と豚肉の炒め等を取ったのですが、これがおいしいのなんのって!搾菜と豚肉の炒めなんてもうサイコーにおいしかったし、チキンも麻婆豆腐もみんなおいしかったぁ。あぁ、こんなお店が見つかってよかったぁぁぁぁぁ。

おいしい中華で夕食を済ませた私達は幸せな気分でホテルに戻ったのでした。さて、明日はどんな1日になるのでしょうか?楽しみだなぁ〜。

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